2016-12-28 23:28

最も静かな時刻

嵐をもたらすものは、もっとも静かな言葉である。
鳩の足で歩んでくる思想が、世界を左右するのだ。

これは、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」の第二部「最も静かな時刻」の最後の部分に出てくる言葉である。
私がこの本を読んだのは1966年であり、15歳の頃である。

1966年から中央公論は「世界の名著」というシリーズをスタートさせた。
この手の全集が出ると、書店の外商部が我が家にやってきて、予約注文を取るのである。
連中にはノルマがあるらしく、必ずやってきては「予約注文書」に印鑑を押すように薦める。
母は断るのが苦手な、お嬢様であるから、殆ど無抵抗に印鑑を押してしまうのだ。
私の記憶では、第一回配本は「ニーチエ」であり、手塚富雄訳であった。

こうして、私は「ツァラトゥストラ」を読んだのであるが、奇妙な本であった。

第二部の最後は弟子達との別離である。
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時は秋だ、澄んだ空、そして午後
弟子たちよ、わたしはこれから独りとなって行く。
君たちも今は去るがよい、しかもおのおのが独りとなって。
そのことをわたしは望むのだ。
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時は秋だ、澄んだ空、そして午後

・・・・このあたりに妙に感動したりした。

時は秋である。午後2時となれば、夕暮れが迫る・・・などと日記に書いたりした。

しかし、何も焦ることは無かったのだ。若い頃は焦りたがるものである。

ただし、今、思うと「嵐をもたらすものは、もっとも静かな言葉である。」は、全くその通りと思う。

そのような例を何回と無く見てきた。

外国での商談で主張をぶつけ合う大論争よりも、静かに事実を示せば流れが変わる。
ディベートの技術がいくら上達して、例え勝ったとしても、それだけである。

.鳩の足で歩んでくる思想が、世界を左右する。

これも、その通りである。
思想とは・・歴史認識と世界の見方である。
これが静かに、喧騒マスコミが気付かない程、ゆっくりと鳩の足で歩んできて世界を変える。


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