2016-01-18 22:42

規制緩和とは、どうしようもない業者の参入を推進し、良質な業者を廃業に追い込む政策ですよ、高橋さん。




日本の規制というものは、もともと厳しいものではなかったのです。
最初から中小零細企業であっても真面目に努力すれば参入できるように規制が定められておりました。
大手の優良企業にとってみれば「当たり前過ぎる」レベルの規制でした。
ですから、小泉内閣で規制緩和が推進された時は、大手にヒアリングすると「規制なんていらんのとちゃう」という返事が返ってきたのです。おそらく中小企業にヒアリングしても、この程度の品質、管理能力の規制なら、達成できないのはオランので、もう、いいんじゃないの?・・・という返事だったのです。
例えば観光バスの運転手に、日本語の通じない人を採用するとか・・・陸援隊事件。
非正規社員で大型バスの運転が苦手という人を採用する会社がありえるとは、誰も想像してなかったと思います。

日本の規制の水準のイメージは、トップが100点、平均点が70点という試験で、30点以下は駄目よという水準です。
30点以下というのは、ちょっと努力したとしても、どうしても点数が上がらない人達なんです。
東大出の優秀な官僚は、おそらく合ったことがないでしょう。

でも、規制緩和してしまえば、彼らは参入して来るのです。
彼らの参入により、価格はどんどん下がります。
なぜなら、彼らは価格を安くするしか競争する武器は無いからです。
価格を下げるためには、人件費を下げる。
正社員を使っていたのでは、価格は下げられないから非正規社員を使う。
アルバイトを使う。
燃料代、高速料金込みで運行一式を引き受けた場合、高速代を浮かすために一般道を走ったりする。
規制緩和前なら「あり得ない」話なのです。

規制緩和すると「いくらなんでも、こりゃあかんだろう」という業者がドドット参入する。
観光バスでは業者数が1.7倍となった。
仕事の方はデフレ不況で増えないから価格競争が激化。
その結果、安全面で必要な金を掛けている優良な業者が淘汰される。

後に残るのは・・・

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長野県軽井沢町のスキーバス転落事故で死亡した土屋広運転手(65)が、運行会社「イーエスピー」(羽村市)の採用面接で「大型バスの運転は苦手だ」と話していたことが18日、同社への取材で分かった。
土屋運転手は昨年12月に契約社員として採用された。
取材に応じた山本崇人営業部長によると、面接時に「大型バスは苦手」と告げられたが、「お願いしたいのはスキーの仕事だ」と伝え、最終的に了承を得たという。
山本部長は「人手不足だった。後悔している」と話した。
同社は、法律で義務付けられた雇い入れ時の健康診断を土屋運転手に受けさせていなかった。
本人から「前の会社で受けた」と説明があり、診断結果の提出を求めたが、提出されないままだった。
土屋運転手が2010年まで約10年間勤務していた都内の観光バス会社によると、
関東周辺のツアーで日中に運転していたが、中型や小型バスのみで大型は運転しなかった。
飲酒はせず、同社で働く前は砕石会社でダンプカーを運転していたという。
面接をしたイーエスピーの荒井強所長は16日の記者会見で、
「心配なので慣れるまで一般道は運転させないようにしようと思っていた」と話していた。 
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追記

京都大学の藤井先生の論説がでまっしたのでポイントのみ転載します。

なぜ、こんな「違法行為」を重ねる「不適格」な業者がバス事業をやっていたのか―――その背景には、明確に2000年に行われた「バス事業の規制緩和」があります。
今回のツアーバスの様な事業(貸切バス事業)は、2000年までは、 「免許」が無ければ事業をすることができませんでした。
しかし、この「免許制」が、自由な競争を妨げている、という、(新自由主義の)イデオロギーが席巻した小泉政権下で、徹底的に批判されました。
そしてその結果、バス事業において「規制緩和」が断行され、「免許制」がなくなり、「認可制」へと移行したのです。
この、「免許制」と「許可制」の大きな違いは、「行政権限の強さ」にあります。
免許制なら、「免許を与えない」という形を通して、不良不適格業者、それ自体を排除することが簡単にできます。
だから、もしも、規制緩和がされておらず、未だに「免許制」が存続していたのなら、今回の様なダメな業者が、ツアーを組むこと自体があり得なかったのであり、15人の尊い人命が失われることもまた、あり得なかったはずなのです。

この意味において、今回の惨事の背景に、バス事業の「規制緩和」があったという事実は、何人たりとも否定できはしないのです。

しかし「許可制」となった今でも、この事故を防ぐこともまた、不可能ではなかったはずだ、しっかりと当局(国交省)が、「一つ一つのバス事業を、細かく、詳しくチェック」してさえいれば、今回の惨事は未然に防げたはずだ、という意見もあります。
(※ たとえば、高橋洋一氏の下記論考は、それを主張しています。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47417)


しかし、それはあまりにも現実を顧みない、「机上の空論」に過ぎません。
もちろん、そうした「事後チェック」型の規制強化でも、それが「完璧」である限りにおいて、事故は防ぐことは可能だったでしょう。
しかしそのためには、「免許制という事前規制」よりも、格段に巨大な「コスト」がかかるのです。
「事前規制」であれば、一定の基準を満たさないバス業者のバス事業を全てストップさせることができます。一旦免許を与えないという「簡単」な判断さえしさえすれば、後は、行政側にほとんどコストはかかりません。
しかし「事後チェック」で事故を未然に防ごうとすれば、どれだけ「不良・不適格」な業者でも、その業者がやろうとするバス事業の「全て」をいちいち詳しく調べなくてはいけなくなります。そして、「これは問題では!?」という事業が見出せたら、それを「ストップ」させるための行政権限を「逐一」発動しなければいけなくなります。

したがって、こうした「事後チェック型の安全管理」を行うためには、事前規制よりも格段に多い「事務量」が発生すると共に、逐一行政指導を発動するための「より大きな権限」が必要になります。
ところが、現実の行政の現場では、「小さな政府」や「予算を削減する緊縮財政」を志向する流れが世論の動向も含めて強烈に存在し、それだけの事業量をこなすに足るだけの十分な「公務員」やそれを実施するための「予算」を確保することも、現実的に、「不可能」な状況にあるのが実態です。
しかも!

そういう不良不適格業者は、事業差し止めの判断を当局が下したとしても、しばしば、「その行政権限の発動は、独占禁止法違反だ!」という形で、司法に起訴することも想定されます。

もちろん、今回事故を起こした業者がそうした訴訟を起こすことは無かったのかもしれませんが、訴訟を起こす業者が出てくることは十二分以上に考えられます。

実際、タクシー業界ではそうした訴訟が日常茶飯事となり、行政権の執行が著しく制限されることもしばしばなのです。

こうした現状を鑑みれば、貴重な人命を救う事が可能な制度としては、「自由競争を是認した上での事後チェック型」の制度は

  「現実的に著しく不適切」

なのであり、かつての免許制の様な「事前規制型」の制度を採択しておくことが現実的に唯一取りうる方法だったのではないか―――という実態が浮かびあがってくるのです。

なお、筆者はもちろん、「自由化」することのメリットが存在することそれ自身を否定するものではありません。そういうメリットも存在することも事実ではないかと思います。

しかし、そのメリットの影に、現実的には安全が脅かされる状況に、利用者一人一人が晒される、という巨大なデメリットが存在することは否定しがたいのです。

こうした現状を踏まえるのなら、バス事業を含む運輸事業の様な「人命」が関わる問題においては、軽々に「自由化」「規制緩和」を行って、「事後チェック型」の制度を易々と採用する態度ではなく、かつてのような免許制に例示されるような「事前規制型」の制度を採用する様な慎重な態度が求められるに違いない、と筆者は考えます。

<以下は事故の増加について>

すなわち、「貸切バス」の「乗務員を起因とする事故」規制緩和直前のH11年では、営業一億キロ当たりで2.0件だったところ、規制緩和直後のH12年では、その1.5倍以上の3.1件に増えています。その後、低下することもありましたが、基本的に規制緩和前の水準にまで低下したことは、H21年を除けば一つもない、という状況となっています。
(なお、「乗り合いバス」については、H14年に規制緩和がされているのですが、(それ以前からも事故が増加傾向にあったとはいえ)規制緩和直前(H13)の一億キロあたりの運転手を起因とする発生事故件数は、8.6キロからH14年度以降はずっと高い水準をとっています。)
あるいは、総務省の下記報告書にも、規制緩和によって、事故が増えた様子が明記されています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000080871.pdf

「当省が平成 21 年5月に貸切バスの運転者を対象に行ったアンケート調査(配布運転者数 500 人、有効回答数 136 人(27.2%)。以下「運転者アンケート調査」という。)において、勤務状況が規制緩和の前後でどのように変化したかについて調査したところ、136 人の運転者のうち、半数近い64 人(47.1%)の運転者が「悪化している」と回答している。この中には「残業代を増やすためには休息や休日を入れない連続勤務や一般路線バスに乗務した後に貸切バスを運行するなどの無理な運行をせざるを得ない状態である。」といった意見があるなど、貸切バス事業者の経営悪化による運転者の勤務状況への影響がみられる。」

こうした状況を鑑みれば、規制緩和が事故を増加させた要因であることは、否定しがたい事実であるように思われます。
それと共に、「規制緩和は事故を増やしていない」という主張の中には、「デマ」言わざるを得ない主張も含まれている可能性があるように、筆者には思えます。

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