2013-10-22 12:38

下請法は多くの中小零細企業には役に立たない



この動画で渡邉氏が18分当たりに「現行法で下請法があるが公取の人数が少ないので全国的に取り締まりが出来ない」と述べているわけですが、下請法の対象企業なら法的な根拠があるので戦えるわけです。

問題は下請法の適用を受けない「その他大多数の中小・零細企業」なのです。

下請法の条文を見てください。
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下請代金支払遅延等防止法
(昭和三十一年六月一日法律第百二十号)

第一条
この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによつて、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。

第二条
この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくはこれらの製造に用いる金型又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又はこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託することをいう。

この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業を営む者が業として請け負う建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。

この法律で「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。
1、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)
2、 映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
3、文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
4、前三号に掲げるもののほか、これらに類するもので政令で定めるもの
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この条文を読めば分かるでしょう。
下請企業とは親企業(大企業)から製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託を受けている業者のことを指すわけです。

そして・・・
この法律で「下請代金」とは、親事業者が製造委託等をした場合に下請事業者の給付(役務提供委託をした場合にあつては、役務の提供。以下同じ。)に対し支払うべき代金をいう。

・・・とあるように、役務と引き換えに戴く料金のことです。

中小・零細企業が大企業に商品を販売する場合はどうか?
中小・零細企業が大企業から商品を仕入れる場合はどうなのか?

これは通常の商取引であって、下請法の対象になる取引ではないのです。

要するに下請企業とは大企業の周辺に存在する、大企業と直接取引があり、かつ製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託を受けている業者・・・・のことなのです。

こんなものは数ある中小・零細企業のほんの一握りの「恵まれた企業」でしかないわけです。

委託ではなく、通常の取引の場合、取引条件は交渉で決めると言うことになる。
大企業と価格交渉できるのは一部の特殊技能を持った町工場だけなのです。
普通の製造業や問屋や小売などは何の交渉能力もありません。

この点について、私は中小企業庁のやっている「下請駆け込み寺」に、駆け込んで聞いてみたことがあります。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm

「大企業から強引な値引き要求を突きつけられ、拒否なら取引中止と言われたのです」と相談。
しかし・・・、その回答は・・・・

・・・・・貴方の会社が下請企業ならば、下請法の対象となり、その行為は違法となります。
しかし、この事例ですと別に相手方企業から何かの委託を受けているわけではなく、単なる企業と企業との商売上の交渉の問題ですから、下請法は適用されません。

今回の消費税の転嫁の問題は、ほぼ全てが単なる企業と企業との商売上の交渉の問題ですよ。
この分野に下請法のような法律はありませんし、そもそも法で縛るのが無理でしょう。
公取の人数が少ないのが問題ではないのです。
法律が無く、法規制も難しい分野なのです。

ですから・・中小零細は転嫁は諦めるしかないのです。

大企業と中小企業の取引というと「下請取引」しか頭に浮かばない経済評論家の方が多いのが、悲しいですね。
なんと昭和31年に制定された法律なんです。
その後は何も無いのです。

下請法を持ち出すのは米国のロビンソン・パットマン法のような規制をやりたくないので誤魔化しているとしか、思えません。
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